農林水産省に対してパブリックコメントを提出しました
農林水産省より「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律に基づく設備整備計画の認定等に関する省令の一部を改正する省令案」に対する意見公募が開始され、8/22(土)に生活クラブ神奈川理事長名で下記の意見書を提出しました。
今般公表された「農地法施行規則及び農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進による農山漁村の活性化に関する基本的な方針を改正する件の案」(以下「改正案」という。)は、「地域活性化に資する形の推進」を掲げながらも、実態としては科学的根拠を欠く一律の規制を導入し、「農山漁村再エネ法」における手続き要件化等により参入ハードルと事業者の事務負担を増大させる過剰規制であると強く危惧しております。事業者を後押しする実効性ある「強力な促進策」が同時に示されない限り、当生協としては本改正案に反対の立場を表明いたします。
以上の立場から、次の3点の意見を申し述べます。
地域主導での適正な再エネ導入を推進しつつも、民間事業者の予見可能性を確保し健全な事業参入を阻害しないよう、未策定自治体における手続の改善、施行後4か月という経過措置期間の延長、および基本計画策定にかかる行政主導の体制強化(または旧ルールの条件付き存続)を強く求めます。
代替案 A:経過措置期間の大幅延長と「基本計画策定完了までの適用」
「改正基本方針案」第2の1 (6)「営農型太陽光発電の適正化」、①「基本理念」、②「設備の形状・実施の形態」
【意見概要】
遮光率30%未満や品目制限など一律の足切り規制は、科学的根拠を欠き現場の実態や環境調和型農業に反するため撤廃・見直しを行うべきです。一律規制ではなく、総合的な取り組みや地域貢献度を評価する「総合得点評価制度」の導入を強く求めます。
【意見詳細】
「改正基本方針案」第2の1 (4)「再生可能エネルギーの主力電源化に向けた取組」、第2の1 (6)「営農型太陽光発電の適正化」第5の1(4)「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する目標及びその達成状況についての評価」
【意見概要】
規制前提ではなく、再生可能エネルギーの主力電源化に向け営農型太陽光発電を地域共生型で力強く推進する必要性を明記し、そのための具体的かつ効果的な促進策を同時に措置することを求めます。
【意見詳細】
以上
【2026年9月9日 掲載】
「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律に基づく設備整備計画の認定等に関する省令の一部を改正する省令案」への意見
神奈川県横浜市港北区新横浜2-2-15 パレアナビル5F
生活クラブ生活協同組合
理事長 矢野克子
生活クラブ生活協同組合
理事長 矢野克子
「農地法施行規則及び農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」、「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進による農山漁村の活性化に関する基本的な方針を改正する件の案」に対する意見書
生活クラブ生活協同組合神奈川は、省エネルギー・再生可能エネルギーの推進を通じて、脱原発・脱炭素社会の実現を目指す活動を進めています。組合員一人ひとりのくらしから環境負荷を減らし、地域の資源を活かした持続可能な社会づくりをめざし、食とエネルギーを地域で支えるしくみの構築に取り組んでいます。神奈川県内では、たまエンパワー株式会社および株式会社さがみこファームと連携し、地域共生型ソーラーシェアリング構想の実現に取り組んでいます。この取り組みを通じて、多くの組合員や地域住民の参加と賛同をひろげ、地域課題の解決やエネルギーの地産地消を進めています。営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)は、農業の継続と再生可能エネルギーの普及を両立させる重要な実践として位置づけています。今般公表された「農地法施行規則及び農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進による農山漁村の活性化に関する基本的な方針を改正する件の案」(以下「改正案」という。)は、「地域活性化に資する形の推進」を掲げながらも、実態としては科学的根拠を欠く一律の規制を導入し、「農山漁村再エネ法」における手続き要件化等により参入ハードルと事業者の事務負担を増大させる過剰規制であると強く危惧しております。事業者を後押しする実効性ある「強力な促進策」が同時に示されない限り、当生協としては本改正案に反対の立場を表明いたします。
以上の立場から、次の3点の意見を申し述べます。
意見項目 1:市町村基本計画要件化の見直しと、未策定自治体における手続関係の改善(および経過措置の適正化)
【該当箇所】
- 農地法施行規則の一部改正(第30条第2項等の削除)
- 附則第3項(施行後4か月間の経過措置)
- 農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律施行規則の一部改正
【意見概要】
営農型太陽光発電の農地一時転用手続きを農山漁村再エネ法の「基本計画」へ移行することに伴い、基本計画が未策定の自治体においては、民間事業者が行政に対して基本計画作成の提案から行わなければ事業化できない構造となり、参入障壁が極めて高くなります。地域主導での適正な再エネ導入を推進しつつも、民間事業者の予見可能性を確保し健全な事業参入を阻害しないよう、未策定自治体における手続の改善、施行後4か月という経過措置期間の延長、および基本計画策定にかかる行政主導の体制強化(または旧ルールの条件付き存続)を強く求めます。
【意見理由】
- 未策定自治体における手続きの事業者依存と著しい参入障壁の発生 改正案では農地法施行規則第30条第2項等が削除され、農地法単独での営農型太陽光の一時転用許可ルートが廃止されます。これにより、基本計画が未策定の自治体で事業を実施する場合、事業者は農山漁村再エネ法第5条第6項に基づく「基本計画作成の提案」から着手せざるを得ません。 しかし、同法第5条第1項において市町村による基本計画の作成は「任意」とされているため、自治体の行政リソース不足や再エネに対する消極的な姿勢により提案が拒否された場合、事業者は農地法上の一時転用許可を得る法的枠組みを完全に失い、事業化が不可能となります。本来行政が担うべき地域計画の策定や地域合意形成の手続きを民間事業者に過度に依存する構造は、参入障壁を著しく高める結果となります。
- 「施行後4か月」という経過措置期間の物理的不実現性 附則第3項では、施行日(令和9年4月1日)から4か月間に限り旧農地法施行規則に基づく申請を認める経過措置が置かれています。しかし、自治体が基本計画を新規策定し、協議会を設置して地元農林漁業者や住民との合意形成を図るには、通常半年から1年以上の期間を要します。4か月という極めて短い猶予期間では、未策定自治体での計画整備が物理的に間に合わず、多くの地域で新規事業の受入が全面的にストップする懸念があります。
【修正案・代替案の提示】
上記の問題を解決し、法制度の整合性を保つため、以下のいずれか(または双方)の代替措置を講じることを要望いたします。代替案 A:経過措置期間の大幅延長と「基本計画策定完了までの適用」
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- 附則第3項における「4箇月を経過する期間内」という一律の期限を撤廃し、「当該市町村において基本計画が策定・公表されるまでの間」は、従前の農地法施行規則第30条第2項等の規定(農地法単独ルート)による一時転用許可申請を認めること。
- あるいは、猶予期間を少なくとも「2年間」程度に大幅に延長し、自治体および事業者が移行準備を行うための十分な期間を確保すること。
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- 基本計画の策定を事業者からの提案任せにするのではなく、営農型太陽光発電の導入ニーズや適地が存在する自治体に対し、国および都道府県が積極的な策定指導・支援を行うこと。
- 自治体が正当な理由なく事業者からの作成提案を拒否・放置することがないよう、評価基準や作成ガイドラインの明確化、および標準計画モデルの提示を行うこと。
意見項目 2:科学的根拠のない一律規制(遮光率30%未満・単収制限・品目制限)の撤廃と柔軟な評価制度への転換
【該当箇所】「改正基本方針案」第2の1 (6)「営農型太陽光発電の適正化」、①「基本理念」、②「設備の形状・実施の形態」
【意見概要】
遮光率30%未満や品目制限など一律の足切り規制は、科学的根拠を欠き現場の実態や環境調和型農業に反するため撤廃・見直しを行うべきです。一律規制ではなく、総合的な取り組みや地域貢献度を評価する「総合得点評価制度」の導入を強く求めます。
【意見詳細】
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- 遮光率30%未満規定の不合理性と科学的根拠の欠如:
改正基本方針案で示された「遮光率30%未満」という数値には合理的な科学的・技術的根拠が示されていません。自然エネルギー財団等の調査によれば、実際には遮光率30%以上であっても適切な栽培管理により高品質な農作物の生産や有機農業を実施し、地域社会に貢献している優良事例が多数存在します(例:宮城県気仙沼市での遮光率68.5%による馬鈴薯栽培、千葉県匝瑳市での遮光率33%による大豆栽培・非常用電源供給等)。また、近年の気候変動に伴う酷暑・強風から作物を保護し、農作業者の暑さ指数(WBGT)を大幅に改善して労働安全性を高める効果も確認されています。科学的根拠のない一律30%未満規制は削除すべきです。 - 品目制限および単収制限の弊害:
「初年度から毎年収穫可能」「地域で一般的に栽培されている品目」への限定や初年度からの単収2割以上減少禁止(8割維持)という画一的な基準は、ブルーベリーや果樹等の多年生作物、高付加価値作物への挑戦や、「みどりの食料システム戦略」が推進する有機農業(量より質を追求する農業)への取り組みを著しく阻害します。不適正なアリバイ営農への対応は、一律の事前規制ではなく、農業委員会等による定期的な営農点検やモニタリングの強化によって対処すべきです。 - 総合得点評価制度への転換:
画一的な足切りではなく、品目・生産性・地域共生等を総合的に評価し、優良な取り組みにインセンティブを付与する「総合得点評価制度」の導入を提案します。
- 遮光率30%未満規定の不合理性と科学的根拠の欠如:
意見項目 3:規制を前提とした記載の見直しと、再エネ主力電源化に向けた「強力な促進策」の同時提示の要請
【該当箇所】「改正基本方針案」第2の1 (4)「再生可能エネルギーの主力電源化に向けた取組」、第2の1 (6)「営農型太陽光発電の適正化」第5の1(4)「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する目標及びその達成状況についての評価」
【意見概要】
規制前提ではなく、再生可能エネルギーの主力電源化に向け営農型太陽光発電を地域共生型で力強く推進する必要性を明記し、そのための具体的かつ効果的な促進策を同時に措置することを求めます。
【意見詳細】
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- 規制を前提とした記載の見直し:
第7次エネルギー基本計画が掲げる再生可能エネルギーの導入目標、2050年カーボンニュートラル達成を見据えると現在の再生可能エネルギー導入スピードは不十分です。特に農地における営農型太陽光の導入実績は潜在的なポテンシャルを大幅に下回っています。今後、主力電源化を確実なものとするためには、営農型太陽光発電の導入をより強力かつ飛躍的に推進していくことが不可欠であることを明記し、営農型太陽光発電の規制を前提とした記載を見直すことを要望します。第2の1 (6)「営農型太陽光発電の適正化」はあくまでも「営農型太陽光発電の導入の推進」であるべきです。また、第5の1(4)にて「(営農型太陽光発電の場合を除く)」としていますが、他の発電と同様に市町村が目標を設定すべきであり例外とする必要はありません。 - 実効性ある強力な促進策の同時提示:
規制強化のみでは事業者の投資意欲を低減させます。再エネ主力電源化と地域共生を推進するため、以下の促進策を同時提示することを強く要望します。
- 規制を前提とした記載の見直し:
- ① 地域地産地消・農業インフラ型への優先支援:自家消費型PPA、農業ハウス・ポンプへの電力供給、災害時自立電源化、売電収益の地域還元を行う案件への優先支援。
- ② 新規就農者・中山間地域への支援:新規就農者の経営安定を支える営農型太陽光発電の導入支援(専用融資・補助制度、農家向け区分の創設)。
③ 優良事例表彰制度の創設:「農林水産大臣賞」等の表彰制度を新設し、優良モデルの全国展開を図ること。
以上
【2026年9月9日 掲載】