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「労働者協同組合法案」の成立を機に、ワーカーズ・コレクティブを推進します

2020年12月4日(金)、参議院本会議において「労働者協同組合法案」が全会一致で可決・成立しました。
生活クラブ生活協同組合・神奈川理事会は、同法案の可決・成立を受け、見解を以下の通り表明します。
 
「労働者協同組合法案」の成立を機にワーカーズ・コレクティブを推進します

 私たち生活クラブ神奈川は、神奈川県内約8万人の組合員が集う生活協同組合(生協)です。私たちは、自然と共生し、「食べ物(Food)、エネルギー(Energy)、福祉(Care)、そして働く(Work)」を地域内でできる限り自給・循環させる「サステイナブル(持続可能)な生き方・暮らし方」を提起し、さまざまな活動に取り組んでいます。

 私
たちが取り組んできた活動の一つに、ワーカーズ・コレクティブ運動があります。ワーカーズ・コレクティブとは、「働く人たちの協同組合」です。生活クラブ神奈川は1982年から、その設立や運営を支援し、事業や地域活動を通じて連携してきました。生活クラブの組合員をはじめ地域の人々が、暮らしのなかのニーズに応えるためにワーカーズ・コレクティブを設立して、地域でさまざまな業種の仕事を起こし、働くメンバー全員が出資し運営しながら働いています。全国組織「ワーカーズ・コレクティブ ネットワーク ジャパン(WNJ)」に所属しているワーカーズ・コレクティブは、計340団体を超え、8,000人以上の人々が働き、出資金は約4億円、事業高は約123億円の規模です(2017年3月現在、WNJ調べ)。
 ワーカーズ・コレクティブ運動の発祥の地である神奈川県では、全国の40%近い団体(134団体)、メンバー(3,780人)が、ワーカーズ・コレクティブとして組織され(2020年5月1日現在)、地域のニーズ、課題を解決するための地域に有用な事業・活動を展開しています。神奈川県内のW.Coが集い、「働く人の協同組合」=W.Coが地域になくてはならない存在であることの認知を拡げていくために「神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会」(理事長:木村満里子)を組織して、各地域で多様な活動(起業のための支援、税務・組織運営などのスキルアップ講座及び研修、書籍・情報機関紙・パンフレットの発行、イベント開催、他組織との連携、取材対応、社会に向けての政策提言)をすすめています。

 
<神奈川におけるワーカーズ・コレクティブの事業・活動>
弁当・惣菜・仕出し、配食サービス、パンとお菓子の製造販売、食材の卸、入居型施設での食事、施設の管理・清掃、せっけん製造・販売、掃除、リサイクル・手作りショップ、住まいの相談、庭の手入れ、片付け処分、生活クラブ生協の仕事(配送、事務、店舗運営)、レストラン・カフェ、居場所・たまり場、家事介護サービス、デイサービス、移動サービス、住まい型生活支援、小規模多機能型施設、居宅介護支援、編集・出版・HP、パソコン業務・相談、事務、経理、健康講座、漢方薬局、鍼灸院、カルチャースクール事業・講師派遣、保育園、学童保育、親子のひろば、一時預かり、派遣保育、子育て支援拠点

 しかし、ワーカーズ・コレクティブのような協同組合を想定した法人格制度が日本にはなかったため、WNJは日本労働者協同組合連合会(ワーカーズ・コープ)とともに、法制化を求める運動に取り組んできました。922の地方議会からも、この法律の制定を求める旨の意見書が国へ提出されています(2019年3月現在)。
  •   ※1 出資・労働・運営を三位一体とする非営利の法人形態は、現行法にはありません。 NPO法人は出資ができず、企業組合は営利性があります。

 この間、協同組合に対する国際的な認知と期待が大きく高まっています。国連総会は2012年を「国際協同組合年」と定めました。2015年には国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、17分野の目標・169のターゲットからなる「持続可能な開発目標」(SDGs)が合意されました。SDGsの達成にあたり役割を果たすべき民間セクターの一つとして、協同組合がこのアジェンダに明記されています。また、2016年にはユネスコ(国連/教育科学文化機関)が「協同組合の思想と実践」を無形文化遺産に登録しました。世界では12億人もの人々が協同組合へ参加しており、「働く人たちの協同組合」のための法制度を多くの国が持っています。

 日本でも、延べ1億500万人超※2もの人々が協同組合に組合員として参加しています。業種は農林水産業・購買・金融・共済・就労創出・福祉・医療など多岐にわたり、協同組合が生み出す付加価値額は約5兆6千億円※2になります。今回の「労働者協同組合法」が成立すれば、よりよい暮らしと持続可能な地域社会の実現を願い、より多くの人々が協同組合に参加する契機になるでしょう。
  •   ※2 「2017(平成29)事業年度版 協同組合統計表」(日本協同組合連携機構)  https://www.japan.coop/study/statistic.php
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  • 「労働者協同組合法案」の具体的な内容について、以下の通り評価します。
 
    • ・法の目的に、「ディーセントワーク」(働きがいのある人間らしい仕事)の趣旨が明記されています。
    • ・認可ではなく、届け出(準則主義)によって設立することができます。
    • ・事業の種類が限定列挙されず、さまざまな事業を営むことができます。
    • ・小規模でも設立することができます。
    • ・企業組合・NPOからの組織変更および財産移管が可能です。

 ただし、さまざまな業種に広がり規模もさまざまなワーカーズ・コレクティブを、この法律だけでは包摂しきれないため、この法人格を取得しない団体も多く発生することが予測されます。将来に向けて、より使いやすい法律に改正していくことが必要です。法案の具体的な内容についていくつかの課題が挙げられますが、これらについては、法の附則に5年後見直し規定を設けたことで、より使いやすい法へ改正していくための検討を継続すべきです。
    • ・働くことを目的に組合員になったにもかかわらず役割として代表理事(雇用者)の任に就いた場合、労働諸法令の内容に準じる保護の仕組みがありません。
    • ・働くことを目的に組合員になったにもかかわらず役割として監事の任に就いた場合、理事・使用人との兼職禁止規定により、働くことができなくなります※3
  •   ※3 20人以下の小規模の場合は、監事の設置に代わり、全員参加(役員を除く)による監査会を置くことができます。この人数規定の上方修正が必要か、実践に照らして判断していく必要があります。
 
    • ・株式会社、一般社団法人からの組織変更および財産移管が認められていません。
    • ・農林水産業系を除く他の協同組合法制にも共通の課題ですが、政治的中立規定は半世紀以上前の古い協同組合原則※4に基づく規定であり、最新の協同組合原則※5に照らして見直すべきです。
      ※4 協同組合第5原則「政治的・宗教的中立」(1937年ICA※6第15回パリ大会)
      ※5 協同組合第4原則「自治と自立」(1995年ICA第31回マンチェスター大会)
      「協同組合は、組合員が管理する自治的な自助組織である。協同組合は、政府を含む他の組織と取り決めを行なったり、外部から資本を調達する際には、組合員による民主的管理を保証し、協同組合の自主性を保持する条件において行なう」
      ※6 国際協同組合同盟(International Co-operative Alliance)
      この法律とは別の扱いとなりますが、小規模な事業体の設立・振興を支援するために、中小企業者等の法人税軽減税率特例等の各種税制優遇措置の期間延長が必要です。
 
 新法成立を機に、政府は政府広報や学校教育(教育指導要領への反映)などを通じて、労働者協同組合をはじめ協同組合全体の認知度向上を図るとともに、労働者協同組合振興のための基本方針・政策を定めて必要な予算措置を執り、統計によって振興状況を点検し、基本方針・政策の強化を図っていくべきです。また、「社会的連帯経済」の一翼を担う協同組合全体を振興していくために、政府は協同組合憲章を、国会は協同組合基本法を制定すべきです。
 コロナ禍は、行き過ぎたグローバル資本主義が気候変動やパンデミックを引き起こし根源的な問題を可視化したと言えます。グローバル化が支える経済ではなく、ローカルを中心とした人のつながりとお金が地域循環する地域コミュニティ経済の発展に舵をきることが必要と考えます。そのためには地域におけるSDGs(「ローカルSDGs」)をすすめていくことです。
 「ローカルSDGs」は足もとにある地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、環境・経済・社会が統合的に循環し、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方です。

 私たちは、ワーカーズ・コレクティブは資本主義の行き詰まりに対し、新しい価値を提起し切り開いていく社会システムになる可能性を秘めていると考えています。やりがい、いきがい、働きがいを持った働き方(真の働き方改革)を広げるためにも、ローカルSDGsの取組みとしてワーカーズ・コレクティブを地域につくり・拡げ、地域になくてはならない地域資源としての価値を高めていきます。

以上

2020年12月4日(金)
生活クラブ生活協同組合・神奈川 理事会

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