淡路島風車倒壊事故への一次見解と、生活クラブ風車「夢風」の対策について
2018年8月24日に兵庫県淡路市で発生した風力発電設備倒壊事故について、一次見解を報告します。
台風20号の影響で発生した本事故について、経産省は設置者である淡路市の第三セクター「ほくだん」に対し、徹底的な原因究明を行い、1か月以内に報告書を提出するように指示が出されています。
把握した情報をもとに、一次見解と生活クラブ風車「夢風」の当面の対策を報告します。
<風車倒壊事故の概要と一次見解>
1)倒壊事故の概要
8月24日、兵庫県淡路市の風車の土台鉄筋破断により根元から倒壊しました。台風20号により淡路島の洲本市では8/23午後11時頃に最大瞬間風速38.5メートルを記録しました。
風車は、三菱重工株式会社のMWT-600で、2002年3月稼働。
2)一次見解
(1)上記風速で倒壊するような設計にはなっていないことから、何らかの工事上の問題が想定されます。
(2)昨年から停止状態あったことから、電源断などでヨー(※1)制御が機能しないとナセル(※2)側面への横風による風荷重による過大な力が作用したことも想定されます。
(3)基礎の構造は不明ですが、施工状況も原因の一つと想定されます。
<生活クラブ風車「夢風」の当面の対策>
1)「夢風」の状況
(1)2012年稼働直後の4月に爆弾低気圧により瞬間最大風速61m(「夢風」本体設置風速計)を記録しましたが、問題は発生しませんでした。
(2)2018年9月4日の台風21号の影響で、最大瞬間風速44.0メートル(「夢風」本体設置風速計)を記録しましたが、問題は発生していません。
2)対策
(1)生活クラブ風車「夢風」は、暴風待機時にはフリーヨーとすることで自然に風を受け流し、停電した場合でも高い安定性を確保します。また、基礎工事も事故のあった風車当時の設計より厳しい条件で設計を行っています。
(2)今後も日常の丁寧なメンテナンス業務の実行と定期点検結果にもとづく補修などの実行をすすめます。
一般社団法人グリーンファンド秋田代表理事
生活クラブ神奈川専務理事 半澤 彰浩
※1 ヨー…風車のプロペラの風を受ける部分の事。「フリーヨー」とは強風時などにする設定で、風の角度・方向に応じて自動で動くヨーの事を指し、そうすることで強風時の風車への影響を最小化することができる
※2 ナセル…支柱とプロペラの間にある、発電機や変圧器といった風力発電に必要な機器が格納されている箇所を指す