電力システム改革貫徹のための政策小委員会 中間とりまとめに対するパブリックコメントを提出しました
原子力発電の廃炉費用を託送料金に上乗せすることを検討している「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」の「中間のとりまとめ」に対するパブリックコメントを生活クラブ神奈川は提出しました。
生活クラブ神奈川意見の視点
・原発が含まれるベースロード電源市場は、電源別の購入ができるようにすべき。
・原発の廃炉費用を託送料金に上乗せすることは、原発をもつ電力会社の優遇策であり、原発の推進策であり反対する。
・託送料金に廃炉費用を上乗せされた場合は、新電力は事業を圧迫し公正な競争が行われなくなり電力自由化の理念に反する。
・原発の廃炉に必要な費用は発電事業者の責任で売電価格に反映すべき。
・託送料金は送配電費用に関わる費用とし、公開すべき。
・原発に大きな費用がかかるのならば、2014年のエネルギー基本計画の見直しをすべき。
・非化石市場創設に反対。自然エネルギーと原発を同じ非化石電源と位置付けている。
経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部 電力市場整備室
パブリックコメントご担当者 様
1.(p3~7)ベースロード電源市場の創設
・ベースロード電源市場は、原発や火力を推進することが目的に見えます。また託送料を値上げした分、こうした市場をつくる安い原発の電気を新電力にも買わせてやるという姿勢です。しかし、原発を拒否している新電力利用者にとっては、原発がミックスされている市場の創設は意味がありません。一方でベースロード電源の確保は必要であることから、この市場で石炭火力、原発、大型水力など電源別にわけて購入できるようにすべきです。
2.(p17~21)原子力事故に係る賠償への備えに関する負担の在り方
・託送料に原発の廃炉費用および事故損害の賠償費用を上乗せすることは、原発を持つ電力会社の負担を軽くすることであり、結果的に原発の優遇策であり、推進策であり反対します。また、環境汚染の費用負担については、「汚染者負担の原則」に基づくことが本来であり、この観点から原発事故という、汚染に何ら責任のない新電力事業者の料金引き上げという費用転嫁には反対します。
・託送料に費用が上乗せされた場合は、新電力の負担となり、事業を圧迫し、公正な競争が行われ なくなる可能性があり電力自由化の理念に反します。
・この間、廃炉費用は発電事業者の責任で積み立てきており、今後もそのようにすべきです。廃炉 に必要な費用は、原発を所有している電力会社とその利用者が負担することが基本であると考えます。廃炉に必要な費用を確保できなければ、売電価格に反映し原発による電気の利用者が負担
するべきと考えます。
・送電網は、社会的なインフラでありその利用・運用は公正・中立でなければなりません。大手電 力会社のために、廃炉費用など直接送電に関係ない費用を計上すべきではありません。あわせて送電線の公正
・中立的な運用を確保するためにその料金の内訳などを公開するなどして透明性を高めていくことを求めます。
・原子力発電に大きな費用がかかるのならば、原子力を推進する2014年4月策定の「エネルギー基 本計画」を見直し、再生可能エネルギーの拡大を目指すべきです。
3.(p11~14)非化石価値取引市場の創設
・非化石価値取引市場の創設に反対します。
・自然エネルギーと原発を同じ非化石電源と位置付けており、CO2削減価値のみを市場で取引しようというもので、原発についての様々な問題やリスクを棚上げにし、非化石価値のみを実電気とは分けようという事です。
・原発のリスクの重大さを考えると非化石価値取引市場において原発の電気は扱うべきでなく、自然エネルギー(FIT電気及び非FIT電気を含む)の環境価値の扱いのみを明確にすべきです。
・また、電源構成の消費者にわかりやすい表示を義務化すべきです。
以上
生活クラブ神奈川
(2017/1/17)