九州電力川内原子力発電所の即時稼働停止と原子力発電所の再稼働の中止を求めます
熊本県・大分県で大地震による大きな被害が発生しています。生活クラブはこれまでの経験も活かし、協同組合の仲間とともに被災地への支援をすすめていく予定です。
一方、昨年8月に再稼働した九州電力川内原子力発電所は、断層帯のすぐ南にあり、地域住民は不安と緊張を高めています。生活クラブ生協は、川内原発の即時停止と日本のすべての原発の再稼働中止を求める意見書を、内閣総理大臣、原子力規制委員会、経済産業省、環境省、九州電力あてに4月21日に送付しました。
生活クラブ生協神奈川が提出する意見書の全文は以下のとおりです。
九州電力 瓜生道明 様
国民の生命を最優先に考え、九州電力川内原子力発電所の即時稼働停止と日本国内のすべての原子力発電所の再稼働の中止を求めます
2016年4月21日
生活クラブ生活協同組合
理事長 五十嵐仁美
生活クラブ生活協同組合は神奈川の地で共同購入運動を45年続けてきている団体であり、現在約7万2千人の組合員が生活に必要な物資やサービスの共同購入を行っています。
2016年4月14日から熊本県・大分県で地震が続発しており、家屋の倒壊や土砂崩れなど、大きな被害が発生しています。14日の地震発生から、震源域が広がっており、「内陸地震の中で余震が非常に多い」状況となっています。気象庁や専門家もいつ終息するのか判断できない状況であり、小規模ではありますが阿蘇山でも噴火が起きています。
被災された地域では、余震が続く不安な中で交通網が寸断され、必要な物資が被災している人たちに届いていない状況です。わたしたちは、現在、被災地への支援を協同組合の仲間やこの間の支援の経験を活かしながらすすめています。
このような中、昨年8月に再稼働した川内原子力発電所は、耐震設計の揺れより「十分に低い」と判断され運転が継続されたままです。わたしたちは、原子力発電所でひとたび事故が発生すれば、その影響は圧倒的な広さに及び避難に大きな混乱を招くことを知っています。天災による復興・復旧は人間の知恵や力で克服することは可能ですが、福島原発の事故の経験から放射能は人間がコントロールできないことが証明されています。福島原発の放射線漏れによる対策はいまだ進んでいないこと、放射線の影響により地域コミュニティや産業の崩壊、長期的な除染作業など人間の暮らしを根本から崩壊してしまいます。事故が起こってから対策ではなく、万一に備えて停止するのがあたり前ではないでしょうか。
特に震源とされる布田川断層帯のすぐ南に川内原子力発電所があり、地域住民は不安と緊張を高めている中で、危機管理の視点から川内原発の即時稼働停止を求めます。
また、政府は、2015年4月に決定したエネルギー基本計画で、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けましたが、耐用期限の切れた原発の稼働延長を前提とした計画であり、原発依存を強める方向にほかなりません。一方で計画決定の際に実施したパブリックコメントでは、「原発への依存度をさらに引き下げるかゼロにするよう求める意見が約9割」であったことが報道され国民に意見を求めておきながら、その詳細を公表せず、しかも最終決定に何ら反映させないという国民無視の姿勢が明らかになりました。また約2年間国内での原発は1基も稼働していませんでしたが、電力不足は発生しませんでした。原発が稼働しないと電力不足が発生するという現政権の主張は崩壊しています。
国民の生命・生存を脅かす原発の再稼働は即時中止してください。そして省エネの推進と合わせ、地域ごとに電気をつくり、使う再生可能なエネルギーを国のエネルギー政策の基本に据え計画性をもって導入を進めてください。
以上
【2016年4月22日掲載】