生活クラブ神奈川はTPPの「大筋合意」に反対を表明します
2015年10月30日
TPPの「大筋合意」と情報開示と国民的議論なしでの日本政府による「署名」、国会での批准手続きに進むことに反対します。
生活クラブ神奈川 理事会
9月30日からアメリカ・アトランタで開始されたTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)閣僚会合は、3度も延長されるという異例の事態の中、10月5日昼前(日本時間10月5日深夜)、「大筋合意」が発表されました。この内容に生活クラブ神奈川は反対します。
■安倍内閣は、交渉参加以来2年余、国会決議が求める情報開示も、「保秘契約」を盾に拒否して秘密交渉を続けてきました。また、「大筋合意」で到達した内容は、国会決議が「除外又は再協議」とした米など主要農産品でTPP輸入枠を設定して輸入増を受け入れるだけでなく、関税の大幅削減や一部関税撤廃を受け入れ、豚肉・牛肉ではセーフガード廃止の仕組みにさえ合意していること、これまで多くの懸念が表明されてきたISDs条項、自治体を含む政府調達の規定、国営企業の扱い等について、充分な説明が行われていません。今回の「大筋合意」は、明らかに国会決議に反するだけでなく、国民への説明責任も果たしていないもので認めることはできません。
■私たちは日本の食料自給率の低下と人間の生存の問題としての地域の崩壊を懸念します。
農林水産物の81%の1885品目の関税がなくなり、重要5項目の米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖でも品目数で約30%にあたる174品目の関税がなくなり、野菜は全品目、水産物もほぼ全品目の関税が撤廃されます。僅か40%の食料自給率がTPPによって大きく低下することを危惧します。日本における農業は「農業」というビジネスとしてだけ存在している訳ではなく「農村」「農民」一体として存在しています。農業問題は村の景観含む地域の問題であり、そしてそこに「人」がいるという人の生存の問題として捉えることが必要です。来年の参議院の選挙対策のような単年度の補正予算手当でごまかすようなことではなく、この国の産業の構造的な問題であり、「生命」の問題です。そのことを壊すTPPに反対します。
■憲法21条の国民の知る権利にもとづき、大筋合意の内容の詳細なる「情報公開」を国会において行い、広く市民に情報開示することを求めます。その上で国民的議論を保障することを求めます。私達国民は憲法上、国に安定した安全な食料や暮らしを求める権利が保障されています。情報公開と市民参加は民主主義の基本であり、とりわけ,市民生活のあらゆる側面に影響を与える可能性のあるTPPのような経済連携協定においては重視されなければならないと考えます。情報開示と国民的議論なしに日本政府よる「署名」、国会での批准手続きに進むことに明確に反対します。私たち生活クラブ生協はこれまでの国内の生産者と提携し実践してきた共同購入運動を強め、食料自給力の向上をすすめます。
以上